思考するガム

ミステリ、漫画、時々映画の感想ブログです。自分の好きなものを中心に扱います。

『クラリネット症候群 』乾くるみ/紹介と感想 人工的な奇想で遊ぶ

クラリネット症候群 (徳間文庫)

結論から言うと、乾くるみらしい、とてもヘンテコな作品でした。個人的には表題作よりマリオネット症候群の方が好きです。ミステリというより奇妙な味に近いかもしれませんね。世にも奇妙な物語が好きな人にオススメです。

この表紙を見て「爽やかな青春ものなんだろうなぁ」「『君の名は』みたいな話かな」と手に取った方の感想が気になるところ笑

 

 

 

 

作品紹介

ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?(クラリネット症候群)

とにかく私は驚いた。ある晩、目覚めたら、勝手に動いている自分の身体。意識はハッキリしてるのに、声は誰にも通じない―まさか私、何かに乗っ取られちゃったの!?誰の仕業かと思っていたら、なんと操り主は、あこがれの森川先輩らしいの。でも、森川先輩って、殺されちゃったらしくって…それっていったい、どういうこと?とっても奇妙なパラサイト・ストーリー。(マリオネット症候群)

上記2編の中編を収録

 

マリオネット症候群

あこがれの先輩に体を乗っ取られてしまった女子高生の話。意識はハッキリしているのですが、主人公は自分の体が動かされるのを黙って見ているほかありません。先輩は何者かに殺されていて、フーダニット中心の話になるのかなと予想していると、思いもよらない事実が明らかになり驚かされます。

その後もあれよあれよと事態は変な方向に転がり、青天の霹靂と言えるような真相まで浮き彫りにして、ラスト、なんとも言えない余韻を残して終わります。(笑っていいのか悪いのか…)

 

中盤で明らかになることが衝撃的すぎて、それ以降ややパワー不足に思えますが十分面白い作品に仕上がっています。定型のはずし方に作者らしさが出ていてグッド

 

クラリネット症候群

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の音が聞こえなくなってしまった男子高校生の話。実験的な手法で書かれた作品で読みづらく、内容を頭に入れるのに苦労しました笑

作者の得意とする暗号ミステリになっています。設定が活かされていてよくできているのは確かですが、個人的な理由(暗号ミステリが好きではない)ので、そこそこな印象止まり。マリオネット症候群と同じく、ブラックなオチになっていて、その点は愉快に感じられました。作者の滲み出る女性観が何とも言えません笑

 

まとめ

冒頭に書いた通り、奇妙な味の中編集。作者のファンと変な話愛好家にはオススメ。

 

クラリネット症候群 (徳間文庫)

クラリネット症候群 (徳間文庫)