思考するガム

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『殺意の集う夜』西澤保彦/紹介と感想 うっかりな殺人犯の推理の迷宮

殺意の集う夜 (講談社文庫)

「やべぇ、館に居合わせた人達、ほぼ全員殺しちゃったよ…そうだ!唯一私が殺してなかった友人を殺した奴に全ての罪を被せればいいんだ!」

 

???

 

!!

 

なるほど、これはバカミ…怪作ですね。さまざまな特殊設定ミステリを作り上げた作者らしいヘンテコな本格ミステリです。普通のミステリはしばらくいいや…と思っている方にこそおオススメしたい珍品でしょう(まぁ西澤保彦の作品はほぼすべて変化球の珍品ともいえるわけですが…)

 

 

 

 

 

作品紹介

嵐の山荘に見知らぬ怪しげな人たちと閉じこめられた万理と園子。深夜、男におそわれた万理は、不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう。その後、園子の部屋へ逃げこむと、園子も死体となっていた。園子を殺したのは誰なのか。驚愕のラストまで怒濤の展開。奇才が仕掛けたジェットコースター・ミステリー!(Amazon参照)

 

6人殺した犯人が7人目を殺した犯人を推理する

 

冒頭、イヤ感漂う登場人物たちが館に集い、主人公が次々とドミノ倒し的に彼ら彼女らを殺していきます。主人公は特殊部隊出身とか特殊能力持ちとか悪の力に目覚めたとか、そういうことは一切ありません。いきなり男性に襲われ返り討ちにしたところ、目撃者に殺人鬼だと勘違いされ、黙らせるために殺害――ということを繰り返していった結果、館にいる人間全員を死体にしてしまったのです。か、可哀想…笑

シュールコメディーとしか思えない展開ながら、主人公にとってはのっぴきならない事態。さぁ大変、と慌てて友人のいる部屋に足を踏み入れると、友人が殺されていました。友人だけは自分が殺していないはず。つまり、誰か館の中に殺人鬼が紛れ込んでいた……?

主人公は、その隠れていた殺人鬼にすべての罪をおっ被せようと、たった一人で館の中で推理を繰り広げます。

 

本筋の物語とは別に、ホステスの殺人事件を追う刑事のエピソードも描かれます。

 

この二つの物語がどのように交差するのか。考えながら読むと楽しいかもしれません。

 

最後には意表をつくどんでん返しもあります。個人的には、やや意表をつきすぎて釈然としない気持ちも残るんですけどね笑

 

と、設定だけを見ると、愉快な作品に思えますが、結構人を選ぶと思います。少なくとも、初めての西澤保彦作品としてはオススメしづらい出来なのが正直な感想。決して悪くはないんですが、作りが歪です。個人的には、もっとあからさまにバカミスの方へ寄せてもよかった気がしますね。

 

まとめ

 「普通のミステリ飽きちゃったぁ」というあなたにオススメしたい珍品です。ただ作者の作品に入門するなら、素直に「七回死んだ男」を読むのが吉でしょう。

 

 

殺意の集う夜 (講談社文庫)

殺意の集う夜 (講談社文庫)