思考するガム

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『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎/紹介と感想 夢と現実で戦う

クジラアタマの王様

なんだか不思議な小説でした。伊坂作品は奇妙なものばかりですが、今作は今まで以上に摩訶不思議。全体的につかみどころのない印象でした。重要な部分のネタバレは避けますが、予備知識を入れたくない方は、以下の文章を読むのはやめた方がいいかもしれません。

 

 

作品紹介

待望の最新書き下ろし長篇小説

巧みな仕掛けとエンターテインメントの王道を
貫いたストーリーによって、
伊坂幸太郎の小説が新たな魅力を放った
ノンストップ活劇エンターテインメント。

異物混入、政治家、アイドル、
人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥――。

伊坂幸太郎の神髄がここに。

 

Amazonの商品紹介の引用ですが、たぶん何も伝わってないと思います笑

最近の伊坂作品って、内容の殆どが伏せられて紹介されていますからねー。

 

夢と現実

主人公はお菓子メーカーで働くサラリーマン。起承転結の起のパートでは、会社に次々とトラブルが舞い込みます。主人公は対応に追われて精神的に疲弊していくのですが、これと並行して、夢パートが描かれるのです。漫画で。

 夢パートではモンスターたちと戦います。タッグを組んで戦ったり、個人で戦ったりしているようです。完全に『モンスターハンター』ですね(作者本人が『モンスターハンター』みたいなのを書いたと言っていました)

 

手法

小説が苦手とするものはアクションシーンです。そこで、小説の中にアクション漫画パートを入れたら面白いんじゃないか、と伊坂先生は考えたそうですね。今作で実現させたわけです。

 

実験的な手法の追求者である伊坂先生らしい試みです。この試みが成功しているかどうか、確かめるためにも一読の価値はあるのではないでしょうか。

 

個人的には、漫画パートと小説パートの間に何かしらの大きな仕掛けがあることを期待していたので、やや肩透かしを喰らったのが正直な感想。

おそらくこの実験的な手法を試すために話を組み立てたのでしょう。そのため、なんだか物語全体が歪になっている気がします。今回は語るものではなく、語り口に重心が寄ってしまったのかもしれません。それでも読み物として最後まで楽しく読ませるのですから立派なことだと思います。

 

どこに向かうのかまったくわからない

上記でやや苦言めいたことを書きましたが、滑らかな筆運びで、ぐいぐいと読ませるのは流石の一言です。飄々とした政治家など、キャラクターはいつも通りよかったですね。緊張感のある場面が挟まれ、物語がどこに向かうのか、まったくわからないのもスリルがあって楽しかったところ。

伏線回収の手際は見事でした。そこだけは毎回外しませんね笑

 

あと殺し屋シリーズのあいつが暗躍してそうな展開があったのですが、どうなのでしょう。気になります。

 

まとめ

変な作品です!笑

伊坂ビギナーにはオススメしづらいですが、ファンなら読むべきでしょう。良くも悪くも新境地を切り開いた作品ではあると思いました。

クジラアタマの王様

クジラアタマの王様