思考するガム

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『クララ殺し』小林泰三/紹介と感想 ビルくんの不条理な冒険はまだまだ続くよ!

クララ殺し (創元クライム・クラブ)

メルヘン殺しシリーズ第二弾。今回の舞台は『アルプスの少女ハイジ』!…かと思いきや、そうではありませんでした笑

必ず前作から読むようにしてください。前後して読むと、ある重要なネタを知って『アリス殺し』の一番の魅力的な部分を味わえなくなってしまいますから。以下ネタバレはありません。

 

 

 

作品紹介

大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。(「BOOK」データベースより)

 

今回の舞台はホフマン宇宙

ホフマン宇宙って何?と思った人は多いでしょう。僕は思いました笑

『くるみ割り人形』や『コッペリア』で有名なドイツ人作家E.T.A.ホフマンの作品群が下敷きになっているようです。

《ホフマン宇宙パート》と《現代日本パート》が交互に描かれていきます。

前作『アリス殺し』を読んでいる人なら、ある程度、どういうトリックが使われているかは想像がつくと思います。

今作で重要なのは、そのトリックがどのように使われているかという部分でしょう

 

相変わらず不条理

前作以上に不条理で不毛な捜査・会話が続くので、大きく好みはわかれると思います。しかも今作の場合、前作より地味な展開が続くので、人によっては退屈に感じられるかもしれません。自分の場合、繰り返されるあの展開には大笑いしたけど…笑

小林泰三ワールドでお馴染みのあのキャラクターが登場したところで、歓喜に震えましたねぇ。大ファンなんですよ。しかも登場のシーンが印象的。自分的に、あのキャラクターと再び会えただけで、この作品を悪く言うつもりは消失しました(元から言うつもりなかったけど)

 

複雑な構図

謎の複雑さは前作よりグレードアップしています。複雑な構図なので、最後の謎解きパートでは、ついていくのに苦労しました。探偵役のねちっこい推理に犯人が追い詰められていくくだりは、読んでいて楽しかったですね。そして犯人の末路…笑 

なかなか壮絶なラストでした。

 

まとめ

正直、前作と比べられるとかなり地味に感じられる本作。とはいえ、前作を踏襲しつつ、この作品ならではの魅力は出せていると思います。シリーズ三作目は個人的にめちゃくちゃ好きなので、ここで読むのをやめず、最後まで付き合ってあげてほしいなぁ…と1ファンとしては思いました。

 

 

クララ殺し (創元クライム・クラブ)

クララ殺し (創元クライム・クラブ)