思考するガム

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『仮面山荘殺人事件』東野圭吾/紹介と感想 最後まで油断ならないサスペンスミステリー

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

気持ちよく騙されました。こういうのも好きです。ネタバレなしの紹介と感想になります。

 

 

作品紹介

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。(「BOOK」データベースより)

 

緊張感のある舞台設定

婚約者を亡くした主人公が、婚約者の親族が集まる山荘に出向いたら、銀行強盗が逃げ込んできて…という話。スリラーにありそうな設定ですね。みんなで脱出を試みますが、すべて失敗に終わります。緊迫した状況の中、一人が殺されました。しかし強盗たちの犯行とは思えない状況です。いったい誰が犯人なのか。フーダニットの要素が出てきて、本格ミステリとしての面白さが加わります。もちろん、どうしてそんな状況の中で人を殺したのかという、ホワイダニットも興味をそそるところです。 

謎解きとスリラーの要素が自然な形で混ざり合っていました。するすると読み進められるので凄さを実感しづらいですが、かなり高度なことをしています。最後まで読めばわかるのですが、作中に出てくるすべての要素がミステリに奉仕していました。

 

技巧

東野圭吾先生の騙しのテクニックが十二分に発揮されています。無駄な記述は一つもなく、パズラーに徹していて、読みやすく、意外性もある。初期~中期東野作品の中でも上位の方にいく秀作と言えるでしょう。仮面の使い方も好きですね~。

使われているミステリネタを一つ一つ取り出せば、前例のあるネタだとわかるのですが、それらを組み合わせることで新鮮な驚きを作り出せていました。天晴。自分は見当違いな方向に推理を進めていましたよ笑

オチは何とも言えない気持ちにさせられるものですが、さらりとしていて良いですね。今の東野圭吾先生なら、もう少し掘り下げて書きそうですが…。パズラーに徹した『仮面山荘』なら、このくらいのバランスがちょうどいいのでしょう。気持ちよく騙される感覚を味わえました。

 

まとめ

 いまの人情派な作風とは違ったクールさ。いまの作風しか知らない読者や、ファンだけどまだ読んでないという方は試しに読んでみてはいかがでしょう? 初期の本格ミステリ群に嵌っていけるかもしれませんよ。

もちろん本格ミステリファンには問答無用でオススメです。

 

 

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)