思考するガム

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『今だけのあの子』芦沢央/紹介と感想 女同士の友情を描いた短編ミステリ集

今だけのあの子 (創元推理文庫)

傑作。著者の初めて読んだ作品でした。これを読んで「この作家には一生ついていこう」と思いました。ネタバレなしの紹介と感想になります。

 

 

 

作品紹介

新婦とは一番の親友だと思っていたのに。大学の同じグループの女子で、どうして私だけ結婚式に招かれないの…(「届かない招待状」)。環境が変わると友人関係も変化する。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり、友情は不信感へと変わった。「女の友情」に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かぶ、傑作ミステリ短篇集全五篇。(「BOOK」データベースより)

 

女同士の友情

ずばりこれが本書のテーマとなっています。「ミステリ×女同士の友情」と訊くと、どうしてもイヤミスを連想してしまいますが、その思い込みを見事に払拭するような短編が揃っています。

 

「届かない招待状」

まずこの短編からして素晴らしい。親友の結婚式に自分一人だけ呼ばれないという絶妙に嫌なシチュエーションが秀逸。主人公がどんどん追い詰められていく過程が丁寧に描かれていきいます。ラストは思わぬところに着地します。とても感動させられました。

 

「帰らない理由」

 男子高校生の視点から女同士の友情を描いた作品。現在と過去を交差させながら、主要キャラクター二人の目的がボカされ話は進行していきます。やはりこの話もラストは感動的。こういう冷めた視点からの感動話に僕は弱いのです(笑)

 

「答えない子ども」

イヤミスといえばママ友!

明らかに価値観の違うママ友との付き合いに疲弊した女性の一人称で物語が進行します。子供同士の諍いという、これまたありそうな話。探偵役の人物があの人だとわかった時、にやりとしました。こういう繋げ方は好きです。

 

「願わない少女」

異色作。最初に結論を持ってきて、どのようにそこへ向かうのかを描いています。この話も他の短編と同じように、登場人物の心理に寄り添っていて、感情移入度が半端ないです。こういうことは現実のどこにでも転がっていそうですが、だからこそ胸を締め付けますね。ラストは何とも言えない余韻が残りました。

 

「正しくない言葉」

最もミステリ的にはオーソドックスと言える話かもしれません。こういうすれ違いは現実にもあることでしょう。思い込みが払拭された瞬間、ふっと心が軽くなりました。

 

まとめ

いまや売れっ子作家である芦沢央先生の二作目。入門書としても打ってつけではないでしょうか。超オススメです。

今だけのあの子 (創元推理文庫)

今だけのあの子 (創元推理文庫)