思考するガム

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『第二の銃声』アントニー・バークリー/紹介と感想 本格ミステリ・ラブコメの傑作

第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)

バークリー入門書として打ってつけではないでしょうか。本格ミステリとしてもラブコメ(!)としても大傑作でした。ネタバレなしの紹介と感想になります。

 

 

 

作品紹介

名な探偵作家ヒルヤードの邸で、ゲストを招いて行われた推理劇。だが、被害者役を演じるスコット=デイヴィスは、二発の銃声ののち本物の死体となって発見された。事件発生時の状況から殺人の嫌疑を掛けられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める。二転三転する論証の果てに明かされる驚愕の真相。探偵小説の可能性を追求し、時代を超えて高評価をを得た傑作。

 

ラブコメとして

1930年に発刊した作品ですが、日本人好みのラブコメに仕上がっているのが凄いところ。草食系の紳士ピンカートンが、粗野な男からヒロインを振り向かせようとする展開がとにかく笑えます。ある女性から「あなたの魅力でヒロインの目を覚まさせてあげて」と言われてそれを鵜呑みにするのです。ラブコメ漫画やライトノベルみたいな出だしではないですか。こういうのキライではありません。

さらに!お淑やかっぽいヒロインだけでなくツンデレヒロインまで出てくるのですから、バークリーはラブコメをわかってますねぇ。現代の日本に生まれていたらとんでもない傑作ラブコメを生み出していたに違いありませんよ…。

 

本格ミステリとして

メインのトリックもさることながら、プロットが非常に巧みです。登場人物の心理の動きが物語に深みと謎を作りだしています。シリーズ探偵のシェリンガムが登場してからは、より一層、ミステリとしての面白さが増していきました。最終的に明かされるアレは、先行作品もあるにはあるのですが、より巧みに扱えているので、新鮮な驚きになっていると言えるのではないでしょうか。

終盤、主人公のピンカートンを含めた自白合戦になる展開は笑えました。当時としては前代未聞だったと思います。(今でも全然ないか…)

 

まとめ

同じ著者の『毒入りチョコレート事件』も大傑作ですが、こちらも負けず劣らずの大傑作になっています。ちなみに今作は、毒チョコの次に書かれた作品です。さりげなく毒チョコを読んだ読者にだけわかるニンマリポイントがあったりします。無論オススメです。

 

第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)

第二の銃声 (創元推理) (創元推理文庫)