思考するガム

ミステリ、漫画、時々映画の感想ブログです。自分の好きなものを中心に扱います。

安達としまむら8巻/感想 閉ざされた2人の行く末

安達としまむら8 (電撃文庫)

アニメ化&再漫画化という嬉しいニュースが飛び込んできました。

どちらも待ち遠してく仕方ないですね。

今回は安達としまむら8巻のネタバレありの感想です。

 

 

作品紹介

高校二年生の十月は修学旅行の季節らしい。となると班決めがあって、席を素早く立つ安達の姿が目に飛び込んで来る。「なにかな足の速い安達」「班は、一緒で」「うん」当然そうなるのだ。ただ問題は、班を作るには五人必要ということだ。安達の性格からして、二人きりじゃないと不満だろうし、どうしたものか。女子高生2人のゆる~い日常。どきどきの修学旅行な、第8巻。(bookデータベース引用)

 

振り切れた安達

安達は修学旅行を前に2人だけの旅行を計画。しまむらにプレゼンしますが、あっさりと拒否されてしまいます(そりゃそうだ)。安達の目にはしまむらしか映っていないのでしょう。

ちょっと心配になりますが、世の中には「これさえあればいい」という考えの元で生きている人、生きざるをえない人がいるのです。安達がまさにその典型でしょう。彼女の場合しまむらと出会っていなかったら、霧に包まれたような人生を送っていたのではないでしょうか。作中で本人がそう口にしていますからね。

心を閉ざしたまま社会で生きていくことは難しいです。とはいえ、しまむらと一緒なら幸せな未来を歩めるのではないでしょうか。その未来を示す、素晴らしいエピソードも載っていました。

 

変化するしまむら

なにより目を惹くのはしまむらの変化です。安達に迫られて困惑しつつ受け入れるくだりは過去に何度もありましたが、今回は始終たじたじです。あまり飄々と受け流すことをしません。

しまむらは元々、人や物に固執しない生き方を選んできました。しかし、安達と本気で付き合う決心を固めたのです。同性のクラスメイトと付き合う行為はなかなかの覚悟が必要でしょう。今回しまむらは、その覚悟を見せつけてくれます。

旅行を通して安達が自分にとってかけがえのない存在だと自覚していくのです。

 

他者であるサンチョたち

ただ閉じた世界を描いているだけでないのが本書の素晴らしいところ。ちゃんと他者も存在します。サンチョたちは安達としまむらに対してどう接していいかわからない態度を取ります。仕方ないでしょうね。デリケートな問題ですから。

「しまむらさんと安達さんって……そういうの?」

踏み込んできたのはパンチョでした。

ここでのパンチョとしまむらの会話は興味深いです。閉じた世界に生きる二人に対して、第三者が客観的な意見を言っているわけですから。いままでにない視点と言えます。

「しまむらさんの方が、人に興味なさそうだし」

しまむらの本質を突く台詞をパンチョはさらりと口にします。

そして、

「でもそういうしまむらさんが一緒にいるってことは、よっぽど安達さんのこと気に入ったんだね」

しまむらはパンチョの言葉にハッとさせられました。

しまむらに気づきを与えるのが、そんなに仲良くのない部外者なのがいいですね。

 

実は似た者同士

安達としまむらは、実は根本のところが似ているのでしょう。どちらも他者に興味がなく、漠然と生きてきたのです。

似ているからこそ2人はサボり仲間として仲良くやっていけたのではないでしょうか。互いに詮索することなく、適切な距離感で心地の良い時間を送ってこられたのです。安達が一線を踏み越えるまでは。

本来のしまむらなら面倒くさがって拒絶していたかもしれません。

しかし、そうはならなかった。なぜならしまむらにとって安達は特別な存在だったからです。自覚はなかったかもしれませんが、初期のころから安達を特別視していました。自分と似た存在だったからでしょう。無視できなかったのです。

 

まとめ

安達としまむらの関係性が掘り下げられていました。絶たれたはずのサンチョたちとの交流まで描かれていて素晴らしかったです。次巻を楽しみに待ちたいと思います

 

 

安達としまむら8 (電撃文庫)

安達としまむら8 (電撃文庫)