思考するガム

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『11枚のとらんぷ』泡坂妻夫/紹介と感想 マジシャン業界を舞台にした奇術本格ミステリ

11枚のとらんぷ (角川文庫)

奇術師の著者が、マジック業界を題材にして書いた本格ミステリの傑作です。ネタバレなしの紹介と感想になります。

 

 

 

作品紹介

真敷市立公民館で開かれた奇術ショウ。“袋の中の美女”という演目の直前、袋から出てくるはずの水田志摩子が、姿を消した。「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を遺して―。同時刻、自室で発見された彼女の屍体、その周囲には不可解な品物の数数が。同じ奇術クラブに属する鹿川は、これは自分が書いた小説「11枚のとらんぷ」に対応していると、警察に力説した―。奇術トリックの最高傑作!(「BOOK」データベース)

 

作者が最も得意とするフィールドを使った本格ミステリです。これが面白くないわけがありません。惜しげもなくマジックと本格ミステリの楽しさが詰め込まれていました。

 

素人マジシャンたちの発表会

とにかく冒頭から笑いっぱなしでした。マジシャンたちの失敗が次々と描かれていきます。作者の笑いのセンスは時代を超越してますね。発刊は1983年ですが、まったく古さを感じません。

ただ笑えるだけのキャラクター紹介ではなく、しっかりとミステリとしての伏線も仕込まれています。油断はできません。この発表会が終わってから事件が発覚するのです。

 

『11枚のトランプ』という作中作

11個のショートショートが挟み込まれます。事件はこれを模倣されて行われました。どれもマジックを題材にしたショートショートで、これだけを抜き出してもすさまじく面白い作品に仕上がっています。解説によれば、ここだけ先に読んだ現役マジシャンの方も多かったとか。

このショートショートも、謎解きに関わる重要な手掛かりとなります。

 

世界国際奇術家会議

第三部ではマジシャン達の祭典が東京で行われ、その最中に事件の謎が解明されます。改めて言うことでもないですが、登場人物の殆どは奇術師です。ここでもまた、手品の面白さが描かれています。

事件の真相は見事なものでした。流石としか言えません。ミスディレクションの上手さに唸らされました。マジシャンとしてもミステリ作家としても、人を巧みに誘導する手さばきが神がかり的ですね。

 

まとめ

いくつもの傑作ミステリや、傑作手品を生み出してきた著者の代表作。ミステリ、手品に興味のある方は読んで絶対に損はないと思います。オススメです。

 

 

11枚のとらんぷ (角川文庫)

11枚のとらんぷ (角川文庫)