思考するガム

ミステリ、漫画、時々映画の感想ブログです。自分の好きなものを中心に扱います。

『わたモテ』の田村ゆりについて考える/ゆりちゃんは何故もこっちを必要とするのか?

ゆりちゃんはわたモテで屈指の人気を誇るキャラクターです。本日は彼女の心理について考えていきたいと思います。

 

 

 

田村ゆりちゃんとは?

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二年の修学旅行を期にもこっちとつるむようになった女の子です。

当初はややコミュ障ながら気遣いのできる常識人枠として人気を博しました。

イメージが少し変わったのは喪120『モテないし打ち上げる』からではないでしょうか。

 

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上記の記事で、「ゆりちゃんの心の面を描くことで、もこっちの成長から、ゆりちゃんの心の問題に物語をシフトしてみせた」と書きました。

現在のゆりちゃんは、『わたモテ』の準主役と言っていいでしょう。

 

 

もこっちとの立場逆転

当初はゆりちゃんがもこっちを導く側でした。しかし喪120の打ち上げ回で、ゆりちゃんの立ち位置はぐらつき始めます。おそらくゆりちゃんは、もこっちのことを「変人で友達のいない人」「私が友達になってあげなきゃ可哀想」と思っていたのではないでしょうか。修学旅行以降、率先して声を掛けていましたからね。

立場が反転し始めるのは、全わたモテ読者を不安にさせた喪124『モテないし友達の関係』からでしょう。(僕はこの回、全部読み切るのに丸一日を費やしました)

 

喪124『モテないし友達の関係』

この回でのゆりちゃんの行動はすべてが痛々しいです。もこっちにだけ伝わる形で、自分ともこっちしか知らない話を他人の前で延々口にします(もこっちと違い、ギャグとして消化できない痛々しさがあります)。自分ともこっちの関係性を誇示しているように見えますね。

 

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この回で、もこっちに抱いていた「自分が優位に立っている」「黒木さんのことなら、だいたいのことは知っている」という幻想が崩れ去ります。(この構造は、傑作アニメ映画『リズと青い鳥』を彷彿とさせますね。)

 

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最後はゆうちゃんに謝罪して許してもらいますが、

まこっちの「いい人でよかったね」という言葉に、ゆりちゃんは「そうだね。私や黒木さんと違って」と捻くれた返答をします。

この時のゆりちゃんの心理は複雑だったと思います。

もこっちに対する劣等感はもちろん、まこっちに諭されたショックや自分に対する失望感――もこっちが遠い存在になってしまうのでは、という恐怖もあったのではないでしょうか?

 

居場所の問題

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『モテないし打ち上げる』で、修学旅行組はゆりちゃんにとってかげがえのないものに変貌しました。

とはいえ吉田さんにはヤンキーグループがあり、まこにはキバ子や他の友人たちがいます。一方、自分と黒木智子には他に居場所がありません。少なくとも、ゆりちゃんはそう思っていたのではないでしょうか。

しかし、もこっちにも他に居場所があることが判明したのです。気が気ではなかったでしょう。自分の手から離れていかないよう、もこっちに執着するのは、独りぼっちになりたくない心理の表れだと思います。

他人を必要としていないクールなキャラクターに見えますが、その本質は、一人になるのが怖い寂しがり屋です。遠足回で作者がうさぎの耳をつけさせたのは、そういう属性を暗示させるためでしょう。

まこに修学旅行の班決めで一度裏切られた経験があるので、いっそう友人の動向を気にするようになったのでしょうね。

 

もこっちの変化とこれからのゆりちゃん、そしてネモ

もこっちの周囲はにぎやかになってきました。

上記の打ち上げ回の記事で「もこっちの成長は一定の水準を超えた」と書きました

もこっちは既に目標である『あたえる側の人間』になっているのです。

一方、ゆりちゃんは回を重ねるごとに拗らせているように見えます。

しかし、

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もこっちが救いをあたえています。

とはいえ、ゆりちゃんを完璧に救ってあげることはもこっちにはできないと僕は考えています。なぜなら、ゆりちゃんにとってもこっちは身内だからです。ゆりちゃんの抱えている最大の問題は他者排除により友人を独占しようとする心理でしょう。もこっちが幾ら訴えかけようと「智子が私のために言ってくれている!」と変な拗らせ方をして、問題の本質に気づかない可能性が大きいです。

ゆりちゃんの問題を解消できるのは、最も近い他者であるネモではないかと個人的には思います。

このあたりについては、『ゆりネモについて考える』という記事に残します。(その前にネモについての記事を書く予定ですが)

 

まとめ

ゆりちゃんの心の隙間を埋めたのはもこっちでした。ゆりちゃんが真の意味で心を埋められる日はくるのでしょうか。

 

次回はネモについての記事になります。

 

 

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 次の記事です。

 

 

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