思考するガム

ミステリ、漫画、時々映画の感想ブログです。自分の好きなものを中心に扱います。

『わたモテ』の魅力について考える/レギュラードラマからストーリードラマへ。わたモテはどう変わったのか。

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(※以下わたモテ表記)は2013年から連載スタートしたweb漫画です。 

 

www.ganganonline.com


現在連載中の漫画作品の中では一番好きです。僕は最新話の更新を今か今かと待ちわびる日々を送っています。わたモテ成分を摂取しないと死んでしまうからです。
このブログを開設した最大の理由は、「わたモテを全人類に読んでほしいなぁ」という想いを抑えきれなくなったからでした。

すでにわたモテ好きによる優秀な感想・考察ブログはたくさんありますが、自分なりにわたモテの魅力を深堀りしていきたいと思うので、気になった方は是非今回の記事を読んでみてください。

「ああ、あのぼっち漫画ね。」
「途中で飽きた。」「共感羞恥で読むのきつかったわ。」
「そもそもまったく知らねーよ(^^)/」

安心してください。そういう方にも魅力が伝わるように書いたつもりです。伝わればいいなぁ…。

 

 

あらすじ

主人公、黒木智子はいわゆる喪女である。高校に入学しても彼氏ができるどころかクラスメイトともろくに会話もできない。自分がぼっちになっている状況に焦り出した彼女は行動を開始するも、痛々しい失敗ばかりが続く。

奮闘空しく、まったく友達ができないまま2年生の二学期となる。修学旅行の同じ班の子と親しくなったことが転機となって、智子は徐々にクラスメイトと会話するようになり、少しずつ周囲との距離が縮まる。お世話になった先輩の卒業を経て、智子は3年生に進級する。(wiki引用)

 

なぜ今『わたモテ』が熱いのか

アニメ化以降あまり話題になることのなかった本作ですが、現在「最新話が更新されるたびに必ずTwitterトレンド入り」「ここ2年でわたモテ限定の同人即売会が三度開催され、原画展まで開かれる」「5chの漫画板で勢いトップ」「ここ数年は新刊が出るたびAmazon売れ筋ランキング1位」と盛り上がっています。(ちなみにアニメ化した時はなぜか売上が落ちました…)

 なぜここまでの盛り上がりを見せているのか。それを知るには「連載初期から中期まで」と「現在」を比較していく必要があるでしょう。

 

連載初期から中期まで

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主人公の喪女・黒木智子(くろき ともこ)――通称もこっちは残念な高校生活を送っています。

 もこっちは自意識過剰で視野が狭く、ネガティブ思考で自虐的という、どうしようもない女子高生です。

 まぁ普通ではないんですね。痛々しい行動を連発します。だけど、意外とメンタルは強くて次の回ではケロッとしています。だから読者は、「もこっちは仕方ないやつだなぁ笑」と楽しく読めるのです。あと見た目が可愛いのも大きいでしょう。可愛いは正義。

 

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話の構造はいつも同じです。

 もこっちが何かしようとする→失敗→また余計なことをする→大失敗

 

初期のわたモテはいわゆる「ストーリードラマ(話が連続していくもの)」ではなく「レギュラードラマ(一話完結で登場人物が変化しないもの)」となっています。

レギュラードラマでは、登場人物の成長はご法度です。なぜなら成長してしまったら話を作れなくなってしまうからです。

例えばドラえもんで、《のび太くんが道具に頼らなくなる》《しずかちゃんと付き合うことになる》という展開を入れたら、それ以降の話は作りづらくなってしまいますよね。

もこっちが失敗を繰り返し「もう余計なことすんのやめよう!」と反省してしまったら、連載を続けていくのは難しくなるでしょう。

 一話ごとに登場人物の感情や考えをリセットできるレギュラードラマは、ギャグ漫画との相性がいいのです。しかし、利点の多いフォーマットですが欠点もあります。

 毎回似たような話になりがちだという点です。おそらくわたモテも「同じパターンの話が繰り返されてるだけだし…5巻くらいで十分かな」と思った人は少なくないんじゃないでしょうか。
 僕は初期のわたモテも好きですが、他の売れているレギュラードラマより弱いと感じる点が一つだけありました。それは「広がりのなさ」です。

 上記で例に出したドラえもんは、のび太の他にも様々なメインキャラクターがおり、彼らとの絡みで広がりや豊かさが足されていました。こち亀もたくさんのキャラクターによって支えられて200巻を達成しています。

わたモテの場合、ぼっちな女子高生が主人公ですから広がりを持たせるのは難しいです。そもそも広がりを持たせてしまったら、「痛々しいぼっち女子高生を愛でる」というコンセプトが崩壊してしまいます。路線変更は無理な話だったのです。

通常ならば。

 

現在

わたモテを語るうえで外せないのは、「二年の修学旅行編」です(8巻~9巻収録)

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この長いエピソードの中で、わたモテは劇的に変わりました。

 

 

 

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田村ゆりちゃん

 

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吉田さん

 

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うっちー


上記の3名と同じ班に入れられたもこっち。班長まで任されてしまいます。全員があぶれ者です。もこっちは何とか場をもたそうとしますが

 

 

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 もちろん失敗します(笑)。期待を裏切らない我らがもこっちでした。

 キャラクターが一気に増えたことにより、物語に厚みと広がりが生まれました。

何より注目すべきなのは、他のキャラクターともこっちの絡みが想像以上に面白いことです。

 

 

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なぜかヤンキーには強気なもこっち

それにしてもこの三人、修学旅行中に絡んだばかりなのに連載初期からつるんでいたような安心感があります。

 

 

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もこっちにパンツを奪われたと勘違いするうっちー

 

 

 

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もこっちをガチ〇ズだと思い込むうっちー

 

うっちーの壮大な勘違いの始まりである。

 

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修学旅行組から釣り銭パッカマン認定を受けるもこっち


驚かされました。ああ、こういう方向でも面白くできるんだなぁと。今までは読者だけが「もこっちは仕方ない奴だ笑」と呆れ半分に見ていたのですが、気持ちを共有するキャラクターが出てきたわけです。共有できるということは「感情移入ができる」「愛着が持てる」ということでもあります。わたモテで脇のキャラクターに人気が集まるのは、こういう要素が影響しているからかもしれません。

 魅力的なキャラクターが一気に増え、話のパターンも増えました。いいテコ入れだなぁ、と素直に感心していたのですがニコ先生の狙いはもっと深いところにあったようです。

 なんと!あのもこっちが人と関わることで成長していっているのですよ!

 レギュラードラマでは成長しないんじゃなかったのか、と疑問に思われた方もいるかもしれません。

 実はレギュラードラマからストーリードラマに切り替わった作品は古今東西、結構あるのです。

失敗している作品も多いですが、わたモテは間違いなく大成功の例でしょう。

なぜ成功したのか。

それはもこっちの成長プロセス、人間関係の構築が丁寧に積み上げられていったからに他なりません。

 いきなりもこっちが周囲の人間から全肯定されたり、脈略もなく英雄的な行動をして賞賛されたりはしません。それでは読者が納得しないでしょう。

もこっちの抱える問題は、視野の狭さと他者に対する強い偏見でした。

わたモテでは、一部の例外を除いてもこっちに悪意を向ける人間は出てきません。優しい人ばかりです。それなのに、視野が狭く曇っているせいで、もこっちは他者にマウントを取ったり、馬鹿にされていると勘違いして怒ったりしていました。

しかし、周囲の人間との繋がりを持つことにより、思い込みがゆっくりと払拭されていったのです。

 

さらに素晴らしいのは、もこっちの変人性はそのままだという点です。

 

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いきなり突拍子のない行動を取って、周囲をぎょっとさせるのは、いつも通りのもこっちです。

しかし過去と違うのは、周囲の人間がもこっちのことを知っている点です。

関わりを持ったことで、みんながキャラクターを把握しているんですね。そして、個性を受け入れている。
よくわからない人が意味不明な行動をしたら反応に困りますが、前もってそういう人だと知っていれば、対応は変わってきます 。当然ですね。

 

まとめ

わたモテは修学旅行を期にストリードラマに舵を切りました。

果たして、もこっちはどこまで成長するのでしょうか。そして、周囲にどういった影響を与えていくのか。非常に楽しみです。

ここまで僕は、わたモテが「どう変わっていったか」について語ってきました。

次回はわたモテの「変わっていない部分」について考えていきたいと思います。

 

 

 

 

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